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介護のプロでも親の介護は初心者。一人っ子・遠距離介護のリアルな不安

遠距離介護と旅をテーマにしたブログの表紙。中央に筆者、両側の雲に浮かぶ両親

母から「ちょっと動けなくなってきた」と電話がかかってきた日、私は電話を切ったあと、しばらくその場から動けませんでした。

介護福祉士14年目。訪問介護の現場で、これまで数えきれないほどの高齢者と、そのご家族に寄り添ってきました。

なのに。

自分の母親のこととなった途端、頭が真っ白になったんです。

ソファで母と電話しながら不安な表情を浮かべる筆者
目次

プロでも、自分の親の介護は別物だった

仕事なら、すぐに動けます。

必要なサービス、使える制度、家族への声かけ。何十パターンも頭に入っています。

でも、電話を切ったあとの私は、ケアマネさんの連絡先ひとつ、すんなり思い出せませんでした。

「私、プロのはずなのに」

情けなさと、自分自身への呆れ。仕事と自分の親は、こんなにも違うものなのかと。

高齢男性の歩行介助をする、介護士としての自分を思い返す筆者

でも、いつまでも呆然としているわけにはいきません。

母は待ってくれない。父も歳を取ってきている。

ここで動けるかどうかは、これから何年も続くであろう介護の入り口として、大事な分かれ目です。

14年間、たくさんの家族を見てきた私だからこそ、できることがあるはず。

そう自分に言い聞かせて、ようやく立ち上がりました。

「親の介護は当然」と思っていた自分に、今さら気づかされている

介護士として現場にいると、親の介護をする家族を毎日のように見てきました。

そのときの自分を振り返ると、心のどこかで、こう思っていた気がします。

「親の介護をするのは、子供として当然のこと」

でも、いざ自分がその立場になって、初めて分かりました。

当然なんかじゃない。

体力も気力も削られる。仕事も生活も、これまで通りには回らなくなる。

そして何より、終わりが見えない

あのとき私が心のどこかで「当然」と思っていたご家族たちは、どれほどの覚悟で向き合っていたんだろう。

今さらですが、頭が下がります。

利用者宅で高齢の母の食事介助を温かく見守る筆者

それでも、あのとき現場でたくさんのご家族の親への向き合い方を見てきたことは、間違いなく私の中に積み重なっています。

悩み方、迷い方、選び方。その一つひとつが、今の自分の引き出しになっている。

プロとしての経験は、無駄じゃなかった。むしろ、これからが本番なのかもしれません。

一人っ子・遠距離介護という、逃げ場のない現実

私には兄弟姉妹がいません。母とは、遠く離れた場所に住んでいます。

飛行機や新幹線を使えばもっと早く着ける距離ですが、頻繁に通うにはお金がかかりすぎる。

だから私は、片道10時間の高速バスに乗って、母のところへ通っています。

夜行バスで揺られて、着いたら着いたで疲れが抜けないまま母の相手をする。

それでも、この距離とお金の折り合いをつけるには、今のところこれが一番現実的な方法です。

そして、通うのはバス代だけの話ではありません。

仕事を数日休むということは、その分の収入が減るということ。

交通費と減った収入、この二つがじわじわと家計にのしかかってきます。

正直、「兄弟がいたら分担できたのに」と思う瞬間は、これから何度もあるでしょう。

夜行バスの車窓を眺め、物思いにふける帰省中の筆者

でも、ないものを嘆いても始まりません。

一人っ子には一人っ子なりの介護の形があるはずだと、今は思っています。

これから先、どんな出来事が待っているのか、正直まだ想像もつきません。

それでも、逃げない。そう決めました。

このブログには、その一つひとつを、リアルタイムで書き残していきます。

同じ立場の方に、「こういう乗り越え方もあるんだ」と思ってもらえる何かが、きっと残せるはずです。

完璧を目指さない、と決めた理由

ただ、一つだけ。自分に強く言い聞かせていることがあります。

完璧を目指さない。

これは、仕事で何度も何度も見てきた、家族介護の一番の落とし穴だからです。

「自分が全部やらなきゃ」と抱え込むご家族ほど、ある日突然、糸が切れたように倒れます。

プロにサービスを頼むことに罪悪感を持ってしまう方も少なくありません。

そして、頑張り屋さんな方ほど、その傾向が強い。

熱を出して寝込む女性を、高齢の母と筆者が心配そうに見守る様子

だから私は、決めました。

プロに頼れるところは頼る。手を抜けるところは、しっかり抜く。

これは仕事の手抜きじゃなくて、長く続けるための知恵です。

介護は10年、20年と続くかもしれない道のり。全力疾走では、最後まで走り切れません。

介護士としての知識を、今度は自分と家族のために使う。

それが、この14年で私が学んだ一番大事なことかもしれません。

健康寿命から逆算したら、のんびりしていられなかった

もう一つ、最近になって気づいたことがあります。

子供たちはそれぞれ成人し、手を離れました。

「育児が終わったら自分の時間はたっぷりある。」

そう思っていた矢先、今度は母が助けを求めてきました。

介護は子育てと違って、この先何年続くのかは分かりません。

ふと気になって、平均的な健康寿命を調べてみました。日常生活に制限なく暮らせる期間のことです。

厚生労働省が公表した令和4年の数値は、女性で75.45年でした。

厚労省「健康寿命の令和4年値について」

あくまで平均で、私がそうなるとは限りません。

それでも自分の年齢を引いてみたら、残りは20年ほどでした。

「時間ができたら、いっぱい旅行をしよう」。そう思っていました。

でも、その頃には自分が動けなくなっているかもしれない。

母だけでなく、私自身も着実に老いに向かっているのです。

だから、決めました。

親の介護で自分の人生を諦めない。

親の介護の入り口に立った、50代の私が目指す生き方です。

このブログで書いていくこと

このブログ「50代、介護と旅と。」では、一人っ子の遠距離介護のリアルな記録を書いていきます。

ケアマネさんとのやりとり、帰省のたびに起きること、制度の使い方、家族との感情のぶつかり合い。きれいごとなしに、本音で書いていきます。

「介護と旅と。」の「旅」は、母のもとへ通う長い移動時間のこと。

私にとって自分と向き合える特別な時間です。

記事は時系列でつながっていますが、途中から読んでいただいても大丈夫です。

「介護認定」「ケアマネ」など気になるテーマから読み始めてもらえると嬉しいです。

同じような場所に立っている誰かに、少しでも届けばいいなと思いながら。

次回はさっそく、初めての介護帰省の話です。

片道10時間のバスの中で考えていたこと、事前に準備した3つの目的について書きます。

よかったら、続けて読みに来てください😊

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この記事を書いた人

訪問介護14年目の介護福祉士。元サービス提供責任者。一人っ子として、片道10時間の距離で母を遠距離介護中。介護のために自分の人生をあきらめないための記録を書いています。

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